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腰痛に湿布薬は早計?知っておきたいメリットとリスク

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湿布薬は医薬品。使用してはいけない場合もある

「経皮吸収型鎮痛消炎剤」という痛み止め効果の高い湿布薬も、処方箋なしに薬局で買えるようになりました。これらの包装材には「第2類医薬品」と記されています。医薬品である以上、湿布薬にも副作用があります。
そこで、思わぬ健康被害につながらないように、使用する際の注意点やリスクをまとめてみました。

※鎮痛・消炎成分を含む代表的な製品の添付文書を参照しました。製品ごとの詳細な注意書きや用法・用量は各々の添付文書をご確認ください。

第2類医薬品の湿布薬に含まれている鎮痛・消炎成分は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれています。代表的なものとして、以下の5つがあげられます。CMで耳にしたことがある名称も含まれていますね。

  • インドメタシン
  • フェルビナク
  • ロキソプロフェンナトリウム
  • ジクロフェナクナトリウム
  • ケトプロフェン

これらの使用上の注意や副作用の可能性については、添付文書(同梱されている注意書き)に記載されていますが、すべての内容を読んだことがない方も多いのではないでしょうか。

  • 一般的に認知されている注意事項

    • 粘膜や傷口を避けて使用する
    • 目や口に入ったときには医師に相談する
    • 薬でアレルギーを起こしたことのある人は使用しない
    • 妊婦や子供の使用には医師に相談する、または使用しない
    • 発疹が出た場合は使用を中止する など。

上記以外の「使用上の注意」も多数あります。その中でも、特に気をつけていただきたいのが次の2点です。

  • 喘息の人は使わない、または慎重に使う

    特にアスピリン喘息の症状を悪化させるため、使用しないよう記載している湿布薬もあります。

  • 接触皮膚炎を起こすことがある

    湿布薬は薬剤を皮膚に接触させ、体内に吸収させることによって炎症を鎮めます。「接触皮膚炎」とは、薬剤を使った直後に「ひりひりする」、「赤くなる」、「かゆくなる」「蕁麻疹が出る」。その後「汁などが急に出てくる」などの症状が続くような「重篤なかぶれ」です。

また、5つの成分のうちいくつかに特に記載されている副作用の中でも、知っておいていただきたいのは次の3点です。

  • 光線過敏症を誘発する可能性がある

    • ジクロフェナクナトリウム
    • ケトプロフェン

    「光線過敏症」とは、太陽光などの紫外線を浴びた部位が赤く腫れあがったり、水ぶくれができたりする症状です。貼った部分を太陽光にさらしていなくても、はがした後に皮膚上や体内に残っていた成分が紫外線に反応して、光線過敏症の症状が発現した例もあるので、注意が必要です。

  • 重篤な内臓疾患のある人は使わない、または慎重に使う

    • ジクロフェナクナトリウム
    • ロキソプロフェンナトリウム

    消化性潰瘍、血液の異常、肝障害、腎障害、高血圧症、心機能不全が重篤な場合は、症状を悪化させることがあります。

  • ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)を起こすことがある

    • フェルビナク
    • ロキソプロフェン
    • ジクロフェナクナトリウム
    • ケトプロフェン

第2類医薬品は、「購入、使用にあたっては、薬剤師や登録販売者から購入者への情報提供を行うことが望ましい」とされています。気になる点があれば、購入の際に薬局で確認することができます。

湿布薬は、必要な箇所に必要な期間だけ使おう

これらの湿布薬の注意書きには、この湿布薬による「治療は対症療法である」、つまり「痛みの原因を取り去るものではない」ことと、「長期使用による副作用のリスク」について注意喚起が記載されています。

本剤による治療は対症療法であるので、症状に応じて薬物療法以外の療法も考慮すること。また、使用が長期にわたる場合には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に留意すること。

手軽さゆえに「痛かったら貼る」、「1日何度も貼り替える」、というようなことはありませんか?必要以上に多く、また長期にわたって使い続けることは、副作用の発現のリスクを増やすことになります。
注意書きには1日あたりの使用回数が書かれています。

  • インドメタシン、フェルビナク…1日2回
  • ロキソプロフェン、ジクロフェナク、ケトプロフェン…1日1回

また、1回に何枚も同時に貼ってはいけません。接触性皮膚炎が発現し、貼った箇所すべてが腫れあがり、重篤な健康障害につながったケースもあります。本当に必要な箇所にピンポイントで1枚、腫れがひくまでの期間限定での使用が安全です。

「痛かったら貼る」はダメ。リスクを認識して活用しよう

腰痛は体の冷えや筋肉の衰え、組織の断裂などを示すサイン。その痛みを早期に抑える手段として、湿布薬は有効です。しかし、よく効く薬効成分は、同時に副作用を持つものでもあります。無自覚な使用で別の疾患につながってしまわないように、「腰痛のタイプを見極めて、必要な箇所に必要な期間だけ」。賢く活用して、痛みも不安もない毎日をお過ごしくださいね。

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