和漢コラム腰痛の悩みにCOLUMN

心因性腰痛のチェック法と対応。心をゆるめることがカギ

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最初は「腰にちょっとした違和感」を感じる程度、特に腰に負担をかけたおぼえもない。日を追って痛みがひどくなるかと思えば、痛くない日もある。整形外科の画像検査でも原因がはっきりしない。
こんな腰の痛みが1ヵ月以上も続いているなら、それは「心因性腰痛」かもしれません。

心が原因で腰痛になるなんてちょっと意外かもしれませんが、精神的なストレスや不安から痛みを感じる腰痛があるのです。そして、心と体の両面からのアプローチで、痛みが改善することもわかってきました。

心因性腰痛の対応法とメカニズムがわかれば、腰痛の改善だけでなく精神的にもいい影響があるはずです。腰痛になったのも悪いことばかりじゃなかった、とさえ思えるようになるでしょう。

本記事の監修薬剤師

監修薬剤師 植田昌男

氏名:植田 昌男
経歴:近畿大学薬学部薬学科卒業 薬剤師免許取得(平成7年)
社歴:平成19年6月 入社

心因性腰痛の対応法

クリニックでの治療:心と体の両面から治療する

一般的な腰痛とは違い、心因性腰痛は精神的なストレスが原因で起こります。今回は、心因性腰痛に特化した治療法をご紹介しましょう。
心と体の両面からアプローチする「リエゾン治療」です。整形外科と精神科が「連携(フランス語でリエゾン)」して治療します。

整形外科での治療は、痛みの軽減が主体。心因性腰痛には一般的な痛み止めは効果がないので、抗うつ薬を用います。この薬には不眠や食欲不振の症状の緩和の効果もあるとされています。

精神科では「認知行動療法」という方法で治療します。これは、その人に特有の「受け止め方のクセ」を変え、ストレスを抱え込まないようにする方法です。

受け止め方のクセを変えていく認知行動療法

「受け止め方のクセ」というのは、何か起こったときに瞬間的にうかぶ考えやイメージ。それによって、気持ちが動き、行動が決まっていきます。たとえば、「友だちと待ち合わせをしたが、相手が15分遅れると連絡があった」とき、あなたなら瞬間的にどんな考えを思い浮かべますか?

待ち合わせには遅れるべきではない。でも私が我慢すればいいか・・・。

こんな風に思ったなら、ルールに忠実で、自分が我慢する「受け止め方のクセ」がある人といえるでしょう。

認知行動療法の「認知」とは、受け止め方前半の「遅れるべきではない」、「行動」は後半の「我慢する」にあたります。ストレスをためないような認知と行動を、自分で選択できるようにしていくのが「認知行動療法」です。

ストレス日記を書く

認知行動療法では患者が「ストレス日記」を書き、ストレスを感じたときの考え方や行動を分析し、ストレスを減らしていく方向に修正する材料にします。

  1. 状況:何があったか
    →友だちが待ち合わせに15分遅れてきた。
  2. 思考:何を考えたか
    →待ち合わせには遅れるべきじゃない。
  3. 行動:実際にどんな行動をしたか
    →我慢して待って、ちょっとイライラした。腰の痛みが強くなった。でも、友だちが不愉快に思うかもしれないから、イライラも痛みも友だちに気づかれないようにした。
    「必要以上に自分の気持ちを抑えていないか」を考えながら整理できたら、次のステップとして、「本当はどうした方がよかったか」を考えます。
  4. 振り返り:本当はどうした方がよかったか
    →ちょっとイライラしたこと、腰も痛かったこと、次は遅れないで来てほしいと言えればよかった。

人に対して自分の気持ちを出せないことは、ストレスを抱え込むことになります。すべてでなくても、一部だけでも伝えられれば、ぐっと心の負担は軽くなるはず。

さらに日記を読み返すうちに、「我慢して待つ」よりも「15分間、自分が楽しいと思えることをする」方が、イライラしなくてよかったかな、とも考えられるようになります。

自分でできる対応法:痛みを抑えながら「受け止め方のクセ」を変えていく

もし自分自身で「ストレス日記」を始めてみるなら、整形外科で痛みを抑える治療も受けながらの方がよいでしょう。腰の痛みが強いと行動しづらく、考え方も消極的になりがちです。

最初は勇気がいりますし、時間がかかるかもしれません。しかし「本当はどうしたらよかったか」を自分で理解して、実際に少しずつでもやってみると、これまでよりも「いやな思い」が減っていきます。それにともない、だんだん痛みを感じる回数も減ってくることにも気づけるでしょう。

「受け取り方のクセ」を変えると痛みが減る理由

痛みは自律神経のアンバランスの結果

心因性腰痛のメカニズムは、アメリカの研究者、ジョン・E・サーノ博士のTMS(緊張性筋炎症候群)という理論で説明されています。

自律神経には2つあり、交感神経はおもに日中の活動時に働き、筋肉を緊張させます。副交感神経はリラックスしているときに働き、筋肉をゆるめ、身体を休めます。
ところが忙しさでイライラしたり、ネガティブな感情を持つことが続くと、交感神経にスイッチが入っている時間が長くなり、筋肉が緊張しっぱなしに。体にも心にもストレスをかけ続けることになり、その結果として腰や膝、股関節などに痛みが起こります。
この痛みを「緊張性筋炎症候群(TMS)」と呼んでいます。

症候群というのは特定の病気ではありません。自律神経のアンバランスの結果が、腰などの痛みという不調として現れているのです。

ネガティブな感情が自律神経をアンバランスに

自律神経をアンバランスにするストレスはさまざまです。絶望感・孤独感・恐怖・怒り・不安・無力感・劣等感などのネガティブな感情はもちろん、体の極度の疲労、不眠、運動不足などの身体的な理由による不快感も影響します。

先ほどの例なら、待ち合わせに遅れてきた友だちに対する「遅れるべきじゃない」という怒り、約束を守ってもらえないほど自分はバカにされているのかという劣等感、しかし思っていることをはっきり言ったら嫌われるのではないかという恐怖感など、ネガティブな感情がいくつも重なっていました。
その間ずっと交感神経が働き続けて、心も体も緊張状態が続くことに。それが腰の痛みの原因になったと考えられます。

もし、自分が楽しめるように15分を過ごそう、と考え行動できれば、ネガティブな感情を持つことも、ストレスを感じることもなく、痛みも感じずにすむというわけです。

心因性腰痛の可能性をチェックしよう

心因性腰痛は「症状が人によってバラバラ」ということも特徴です。下のリストのすべてが当てはまるわけではありませんが、あなたの痛みに近いものがいくつかあれば、心因性腰痛の可能性があります。

  • 姿勢を変えたり安静にしても痛みが続く
  • 午前中に痛むことが多い
  • 慢性的に痛む
  • 痛むところが一定でない
  • 気分によって痛みを感じたり、感じなかったりする
  • 食欲がない
  • 眠れない
  • 疲れやすい

心因性腰痛はごく軽い症状から始まるため、多くの人はマッサージや湿布などで対処しようとします。しかしなかなか痛みは軽減しませんし、レントゲンやMRI検査でも、椎間板の疾患など身体的な不具合は見つかりません。

このまま治らなかったらどうしよう、と不安も増えて、さらにストレスフルな状態に。こうした悪循環で症状が悪化すると、息もできないほどの激痛を感じることも。

痛みは「心も体も、もう少し休めたほうがいいよ」というサイン。
それに気づき、心と体の両面からの対応法を続けることで、ストレスが減り自律神経のバランスが整いはじめます。不眠や食欲不振も改善でき、体を休めることにもつながります。
ふと気づけば、痛みは次第に感じにくくなっていることでしょう。

あなたの心が楽になる方法を見つけて

ストレスをためやすいのは、責任感が強くて、なにごとにもまじめに取り組むがんばり屋さんが多いのです。それだけに自分自身の心と体の休息をあとまわしにしがち。
毎日の生活のなかで、太陽の光を浴びる、おいしいものをゆっくり味わう、好きな音楽を楽しむなど、心をゆるめられることを少しずつでも取り入れていきましょう。

ストレス腰痛の改善に。今日から楽しめる7つのこと

心と体を休めながら、対応法もゆるゆると始めてみませんか。ネガティブな感情を持たずに過ごせる日が少しずつ増えてきますよ。あのとき、ちょっと休んでよかったと振り返る日が、きっと訪れることでしょう。

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